秘密の手紙を発見!
数年前、バスルームの改装をしました。電気の回線をいじろうと天井の板を外したところ、カメラのフィルムケースを発見したのです。赤い矢印の所に置いてありました。
中を開けてみると、何と!手紙が入っていました。
読んでみると、約40年前にこの家に住んでいた女性が書いたもので、だんなさんと幼いお嬢さんと幸せに暮らしていること、この家をとても愛していることなどが綴られていました。
この手紙を発見してすぐに、近所の物知り博士(子供の頃からこの村に住んでいて、この村のことなら何でも知っているおじさん)に聞いたところ、この女性は絵描きさんなんだとか。
彼女の手紙によると、キッチンを改装した際に、キッチンの隅にこの手紙を忍ばせたと書いてあります。しかしキッチンは1階にあり、手紙は2階のバスルームで発見されました。
さて、一体誰が手紙を移動させたのでしょう?
私たちの前の住人がキッチンを改装したことは本人たちから聞いて知っています。ですので、彼らが移したか、もしくはまたその前の住人か? 何やらはっきりしないところがミステリアスで魅力的ですね。
手紙には追伸があり、この家が手狭になったので隣村へ引っ越すことになったこと、そしてこの家で過ごした幸せな日々を忘れないということが書いてありました。
この手紙を見た時、もし私たちが引っ越すようなことがあるのなら、必ず手紙を書こうと決めていました。
家の引き渡し当日、ついにその時がやってきました。
私たちは人生の新たなステージへ向かいスコットランドへ移住することになったけれど、この家で過ごした幸せな日々はずっと心に残り続けることを記し、鶴を折り、40年前の手紙と共に小さく折りたたみ、元のフィルムケースに入れ、元あった場所に戻しました。
次にこの手紙が発見されるのはいつのことでしょう? 家主に引き継がれる秘密の手紙、脈々と続いてくれることを祈っています。
家を引き渡す
家を売ったお金は、引き渡し日当日に私たちのソリシター(弁護士)の口座にまず入金されるので、その確認が取れるまでは家の鍵は誰にも渡さないようにと、ソリシターから前もって連絡をもらっていました。
当日午前9時半位だったでしょうか。ソリシターから電話があり、入金を確認したとのこと。これで正式にこの家の売買が終了です。
家の引き渡しは正午という契約なので、11時半までに家を出るように計画をしていました。秘密の手紙を書き、バスルームへ忍ばせた後、忘れ物はないか等の最終チェックしていました。
と、そこへ新しいオーナー夫妻がヒョコっと現れました。彼らが今日来るのは知っていましたが、まさかこんなに早くにやって来るとは!
彼らも契約が正午なのを知っているので、「また1時間後に戻ってこようか?」と聞いてくれましたが、全てやる事は終わっていたので、「すぐに私達は家を出ます」と伝えました。
最後に各部屋を回り、見まわしながら心の中で「ありがとう」とお礼を言い、新オーナー夫妻が待つ玄関先へと出て行きました。彼らはシャンペンのボトルを持っていました。きっとお祝いをするのでしょう。
実は正式な売買契約を交わす前に、新オーナー夫妻が私達を訪ねてきました。彼らのソリシターから、契約前にもう一度家を見ておくように、とのアドバイスがあったからでした。私たちは内心ちょっとヒヤヒヤしていたのです、だってもしかしたら家を見て心変わりをするかも知れないじゃありませんか。
ですが彼らを迎えた当日、私たちの心配は取り越し苦労だったのだとすぐに分かりました。彼らはもう引っ越してくる気満々、メジャーで部屋を図っていましたから(笑)
私たちの家は築約200年の石造りの家で、外壁はもちろんのこと、窓ガラスや石の床も建築当時のままです。窓ガラスは少し歪んでいるので、ガラスを通して見る景色が揺らいで見えてとても趣があります。床の石は人が歩くところがすり減っています。200年の間に摩耗したのですね。
新しいオーナー夫妻はそういう古い家が持つ雰囲気にロマンを感じてくれる人たちで、この家と庭をとても気に入ってくれて、ここに住めるのを心待ちにしているのが伝わってきました。この家を手放す側としては、そういう人に買ってもらえて本当に嬉しいです。
引き渡し日当日、私たちが家から出てくるのを待っていた彼らの顔が喜びと興奮でキラキラと輝いていました。家も彼らのことをきっと気に入ってくれることでしょう。
家を出た後、私たちのソリシターから私たちの銀行口座へ入金があったのを確認し、これで本当に家の売買の一切が終了しました。
家が売りに出されたのが8月中旬だったので、全て終了するのに約4ヵ月かかりました。正直長かったです。でも売れて本当に良かった。関わって下さった皆さん、ありがとうございました。
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